コラテジェンについてまとめ
2月21日、アンジェスがかねてより研究開発していた遺伝子治療薬「コラテジェン」が厚生労働省の専門家会議で条件および期限つきの製造販売承認を得たと発表。日経新聞一面にも取り上げられるニュースとなり、株価が大幅に上昇した。
そこで、このコラテジェンとはどういった治療薬なのか少しまとめてみた。
[どういった薬なのか?]
アンジェスが出している資料によると、コラテジェンとは製品名であり、「HGF 遺伝子治療薬」と言うらしい。
「HGF 遺伝子治療薬」とは「HGF を産生する遺伝子を虚血部位に投与することで、局所に HGF タンパク質を発現させ、血管新生を促して虚血状態の改善を図る遺伝子治療薬」とのこと。
HGFとは、肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)の略で、肝細胞から発見された増殖因子。
血管新生作用を有する他、発生過程における器官形成や傷害に伴う組織・器官の再生において重要な役割を担うもの。
肝炎や肝障害時に血中HGFレベルは増加し,肝再生の終結とともにHGF活性が低下することから,HGFは肝再生因子と、かねてより考えられていた。
[治療対象の疾患]
動脈硬化等によって血管内腔が狭くなり血流が悪くなる末梢性血管疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャ ー病)及び虚血性心疾患が治療対象。
注)末梢性血管疾患(peripheral arterial disease)とは、 四肢の末梢血管が閉塞することにより、筋肉や皮膚組織が虚血状態に陥る疾患。閉塞性動脈硬化症やバージャー病等がある。閉塞性動脈硬化症は重症化すると「重症虚血肢」と呼ばれ、何らかの治療を行わなければ、肢切断を余技なくされることもある最も重篤な病態。
注)虚血性心疾患(ischemic heart disease) とは、心臓を養う動脈(冠動脈)がある程度狭窄すると、労作時に十分な血液が流れず、胸苦しさとか胸痛などの症状を示す狭心症や、冠動脈が完全閉塞し、心筋組織が虚血状態になる心筋梗塞など
[名前の由来]
血管新生により側副血行路(”collateral vessels”)を形成し、虚血状態の改善を図る遺伝子治療薬(”gene medicine”)という意味から由来
[まとめ]
どうやらコラテジェンはHGFというものを作ってくれる遺伝子を体に投与して、新しい血管を形成したり新たに体の組織や器官を再生させるための治療薬のようだ。
従来の薬物とは異なる新しい作用機序を有する薬剤であり、従来の薬物療法で効果が不十分な患者、手術の施行が困難な患者等に効果が期待されている。
1953年のDNAの二重らせん構造の発見から50周年となる2003年にヒトゲノム解析が完了。解析結果を基に、遺伝子治療薬がこれからどんどん誕生していく。今後も様々な遺伝子治療薬が製品として出てくることにより、今まで治療が困難で、治すことが難しかった病も治る未来がやってくるのだろう。